J-FGIとは何か、なぜ作ったのか

J-FGIはJapan Fear & Greed Indexの略で、私が日本株市場のために構築した恐怖・貪欲指数だ。トレンド、市場の強さ、売買代金の広がり、実現したストレスの四つを0~100のスコアにまとめる。市場資料は既存のJ-Quantsデータを使い、定義と計算は本研究で行った。

市場が恐怖に包まれていると言うとき、私たちは何を観察しているのだろう。

株価の下落かもしれない。指数は持ちこたえていても、その内側で弱い証券が増えているのかもしれない。実際の変動が急に大きくなり、それまで維持されていた価格帯を多くの証券が割り込んでいる可能性もある。いずれも観察に値するが、投資家全体の感情を直接測ったことにはならない。

上昇中にも変動は激しくなり得る。少数の大型銘柄が指数を動かすこともある。参加の広がりは楽観にも機械的な回復にも伴う。ボラティリティ、トレンド、広がりは、それぞれ異なる市場の断面である。

そこで、日本株市場の複数の観察可能な側面を組み合わせ、リスク・センチメントを説明する尺度にできるかを調べた。J-Quantsは市場資料の提供元であり、四つの側面を選んでスコアにまとめたのは私だ。J-FGIは研究用の自作指標で、日本の取引所や他の機関が公表する公式指数ではない。

名称は市場で使われる恐怖・貪欲という表現を参考にした。CNNのFear & Greed Indexは米国市場の七指標を組み合わせるが、J-FGI初版は日本市場の四つの側面だけを使う。オプション、信用市場、安全資産への需要は含まず、CNNのスコアも入力していない。名称が似ていても、構成やスコアはそのまま比較できない。

指標対象と出所本研究での役割
J-FGI本研究の自作指標。日本市場の四側面を等ウェイトで合成市場の圧力と、その後のリターン・リスクとの関係を見る
CNN Fear & Greed IndexCNNが公表。オプション、信用、安全資産への需要を含む米国市場の七指標概念上の参考。CNNのスコアは入力しない
Broad Risk-On私の個人売買システムの市場状態指標システム内の既存情報との重複を調べる
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完全なCore観察期間のJ-FGIと、独立した軸を持つ正規化TOPIX価格。

図1:完全なCore観察期間は2014年7月31日~2020年9月30日。TOPIXは最初の観察値を100とし、別の縦軸を使う。20と80は表示上の境界であり、売買成績を示す図ではない。

答えを見る前に指数を構築する

最初のCoreは四つの経済的側面を組み合わせた。

Trendは市場全体の方向を最近の履歴と比較する。Market Strengthは、条件を満たす上場証券の新高値・新安値の広がりを見る。Breadthは上昇証券と下落証券の売買代金の参加構造を比較する。Realized Stressは市場全体が実際に経験した変動の圧力を表す。

各要素を共通の相対的な歴史尺度に変換し、高い値を比較的落ち着いた、またはリスクを取る側に対応させた。各要素のウェイトは25%で、その後の結果を見る前に固定した。

定義は結果の分析より先に定め、その後も維持した。単純な四側面の構成が日本市場で何を測るかを知りたかった。

既存の日本市場データと計算を再利用し、KabuForgeの研究基盤で扱う定義の記録、証拠の保存、結果の確認という手順で進めた。

0~100は表現であって、市場の自然な単位ではない

スコアは読みやすい。しかし10という値が20の二倍の恐怖を意味するわけではない。

J-FGIの範囲表示ラベル
0 ≤ スコア < 20極度の恐怖
20 ≤ スコア < 40恐怖
40 ≤ スコア < 60中立
60 ≤ スコア < 80貪欲
80 ≤ スコア ≤ 100極度の貪欲

ラベルは連続変数を整理するためのものだ。境界で市場の性質が急変すると確認したわけではない。続編のエントリー条件は別途「20以下」とするため、表示区分と売買探索の条件は区別して説明する。

低いスコアは価格、参加の広がり、変動に表れる圧力が大きい状態を、高いスコアは比較的落ち着いた状態を示す。その後のリターンを考える手掛かりになるかは、次に調べる問いだ。

最も自然な仮説:恐怖の後には高いリターンが来るのか

極端な恐怖が過度の悲観を表すなら、低いJ-FGIの後に高いリターンが続くのではないか。逆張りの直感は理解しやすい。

しかし固定済みサンプルは、その解釈を強く支持しなかった。完全なCoreの1,505観察で、J-FGIとその後20取引日のTOPIXリターンの相関は約 −0.065。既存のブロック・ブートストラップによる記述区間は約 −0.242~+0.082で、ゼロをまたいだ。

ブロック単位の抽出は持続性や重複観察を記述に反映させるためであり、すでに見た履歴を独立検証に変えるものではない。読み取れるのは、リターンとの関係が弱く、不確実だということだ。

5取引日の変化とその後20取引日のリターンの相関は約 −0.002、10取引日の変化では約 −0.028。水準を変化に置き換えても、明確な方向性との関係は現れなかった。恐怖がそのまま逆張りの収益シグナルになったわけではない。

より明確だったのは、リターンよりリスクとの関係

リスク側の数字は異なった。J-FGIとその後20取引日の実現ボラティリティの相関は約 −0.492で、記述区間は約 −0.622~−0.295。このサンプルでは、高いスコアはその後の穏やかな変動と関連していた。

その後20取引日の最大ドローダウンとの相関は約 +0.286、記述区間は約 +0.101~+0.400だった。

最大ドローダウンは負のリターンで表す。−5%は−20%よりゼロに近い。したがって正の相関は、高いJ-FGIがより浅い歴史的損失と関連したことを意味する。

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その後20取引日のリターン、実現ボラティリティ、負値の最大ドローダウンとの相関と記述区間。

図2:点はPearson相関、横線は既存の95%ブロック・ブートストラップ記述区間。ドローダウンは負値なので、正の関連は浅い損失に対応する。

リスク環境には持続性がある。実現したストレスや参加の広がりを含む構成は、しばらく続く環境を認識しているのかもしれない。これは結果の解釈であり、新たに確立した因果的結論ではない。

恐怖と貪欲は、次に価格が向かう方向より、現在どのような市場にいるかを説明している可能性がある。

新しい情報か、それとも既存の状態の別名か

私の個人売買システムには、以前から Broad Risk-On という指標がある。市場で幅広くリスクが取られている状態を捉えるためのものだ。システムではこのような環境をregime、つまり市場状態と呼ぶ。私自身が構築したシステム指標であり、外部で公表されるセンチメント指数ではない。

構成はJ-FGIと同一ではないが、トレンド、参加、リスクに関する似た情報を使う。比較する目的は、新指数がどれほど情報を加えるかを調べることだ。

完全なCoreの共通サンプルで、同時点の相関は約 0.916だった。高い相関だが、「動きの92%が同じ」という意味ではない。一方が他方を独立に検証したことにもならない。

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既存Broad Risk-OnとJ-FGIの散布図。共通観察は1,505、Pearson相関は約0.916。

図3:高い同時点相関は、まず情報の重複を問わせる。関連した入力を使い、証券の適格性の扱いも多少異なるため、独立した有効性検証ではない。

既存状態を考慮した後に何が残るかが重要だ。記述的な線形残差の比較では、J-FGIとその後20取引日のリターンの関連は約 +0.043にとどまった。ボラティリティには限定的な関連が残り、約 −0.168だった。

結果は「大きく重なるが、同一ではない」。J-FGIは市場状態を読みやすくする一方、その情報の多くは私の既存の市場状態枠組みにも含まれる。残った差に経済的な価値があるかは、引き続き調べる必要がある。

これは不確実性の中で理性を指針とするArcaVisoの姿勢にも通じる。新指標の有用性は、どのような情報をもたらすかで判断したい。

四つの要素は、四つの独立情報とは限らない

内部にも同じ問題がある。TrendとMarket Strength、つまり高値・安値の要素の相関は約 0.812。BreadthとTrendは約 0.564。Realized Stressと他要素は約 0.281~0.486と、重複が比較的小さかった。

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四要素の相関行列。TrendとMarket Strengthの重複が大きく、Realized Stressは相対的に小さい。

図4:固定要素スコアのペアごとのPearson相関。各セルはそのペアで利用可能な観察を使い、サンプルが完全に同一とは限らない。

市場全体の上昇と多くの証券の新高値は自然に結びつく。両方を含めることは、似た行動の表現を増やしても、完全に別の事実を増やすとは限らない。

Breadthや実現したストレスは異なる視点を持つ。要素を一つずつ外す比較は、どの情報が重複しているかを調べる助けになる。本稿では当初の四要素の定義を維持する。

現在のJ-FGIが確立していないこと

約18年分のローカル市場資産があることと、18年分の完全かつ当時再構築可能なJ-FGIがあることは異なる。

完全な四要素の窓は 2014年7月31日~2020年9月30日の1,505観察だ。長い準備期間と日付グリッドの意味上の問題が範囲を制限する。初版の営業日グリッドには、実際には取引所が終日停止した日が残り、必要な完全窓を中断した。結果を見た後に黙って変更せず、初版を保存して問題を記録した。

入力は現在入手した歴史版であり、各資料が当時いつ公表され、いつ利用できたかは未確認だ。そのため、当時の投資家が実際に見られた情報全体はまだ再構築できない。日付だけでは、当時も同じ版を取得できたとは分からない。

歴史的な指数を計算できることは、その時点で同じ値を再構築できたことを意味しない。 Point-in-TimeデータはBooleanではないと関連トピックで、この区別を詳しく扱っている。

証券集合は日付別の上場証券代理で、条件を満たすETF、REIT、外国普通証券を含む。完全な歴史的普通株集合としては未受入れである。カバレッジ、適格性、実際の取引日には追加の検討が必要だ。

将来の結果窓は重複し、この履歴はすでに検討されている。独立した前向き検証や実運用検証もない。外部指標と日本固有のポジショニング要素は固定Coreに入っていない。これらは次のデータと計算手順の見直しに残る課題だ。

ここでの恐怖と貪欲は何を意味するのか

J-FGIは現在、日本株市場がどれほどストレスを抱え、あるいは落ち着いているかを、次のリターンより明確に記述している。私は市場環境を読むための物差しとして使いたい。

それでも、極度の恐怖で買い、極度の貪欲になるまで待つという直感には答えていない。固定20取引日の弱い関連だけでは、状態に応じた退出まで待った場合を判断できない。

次の実験:日本株で恐怖を買い、貪欲を売れるか?

構築と参考資料

  • 独自の構築と計算:J-FGIの四要素、等ウェイト合成、相対的な歴史尺度と本文の統計は私が構築・計算した。Broad Risk-Onは個人売買システムの指標で、情報の重複を調べる比較に使う。
  • 市場データ:ローカル保存のJ-Quantsの価格、売買代金、上場証券情報、取引カレンダー、TOPIX資料を使った。JPX J-Quantsと公式APIクライアントとドキュメントはサービスの参考資料であり、使用版と当時の利用可能性の制約は前述した。
  • 概念上の参考:CNN Fear & Greed Indexは複数の市場行動をセンチメントスコアにまとめる考え方の参考とした。七指標の構成を再現したものではなく、CNNの承認や検証も受けていない。